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今月のコラムも総合計画に関する内容です。
夕張市が総合計画を策定するのは平成17年以来ということになりますが、この間社会全体の変化も顕著なものがあります。
自然災害の増加、気候変動、デジタル化の進展、協働から共創への変化、人口減少、少子高齢化、労働力不足などで、計画には当然こうした変化に対応する指針も必要になると考えています。
まず、令和6年度は総合計画策定の準備として、令和4年から行っている「各課が抱える課題の洗い出しと共有化」の見直しや更新のほか、市が持つ各種計画の洗い出しと再チェックを行いました。
そのうえで4月から始まる令和7年度には
●市民アンケートの実施・とりまとめと、結果に基づく内部検討
●市の人口分析と将来の推計
●各課の課題を踏まえた施策の点検・課題整理
●これら作業により得られたデータに基づき素案を作成すること
を予定しております。
また令和8年度には
●市民参画の策定委員会をつくり、素案をもとに内容を協議ののち、
●意見募集(パブリックコメント)を行い、
最終案を作成する予定です。
全国共通の課題でありながら、夕張市にとっては特に顕著な人口減少、広範な行政面積であることの課題を克服しながら『すべてが揃ってはいなくても、安心度・生活満足度が高い、持続可能なまち』であることが将来に続く唯一の道と考えます。
財政再生計画期間中は市民の皆様に多大なご協力をいただき、間もなくその目標を達成しようとしています。
平成18年から取り組んできた財政再建は、約半世紀に渡る石炭産業の衰退から始まった財政難の歴史に一つの区切りをつけることになりますが、その後のまちづくりの指針である総合計画は将来へのバトンをつなぐ大切な作業になります。
赤字解消から今と将来への投資へ!
市民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
(令和7年4月)
夕張市役所は令和7年4月1日付で、事務職2名、保健師1名を新たに迎えました。
近年、就職市場が売り手優位といわれており、民間企業では初任給や若年層の給与水準を大幅に引き上げるなどの賃上げが行われております。
一方、公務員においては、国・地方ともに人材確保が依然として厳しい状況にあります。
国家公務員にあっては採用市場における競争力強化のため、初任給・若年層の給与を大幅に引き上げ、地方においてもこれに準じた給与改善が多くの自治体で実施されており、夕張市も同様の対応を行いました。
人材の確保が難しい時代、加えて社会は目まぐるしいスピードで進み、多様な職種・働き方が生まれてきています。
私たちは今の時代を生きる若い皆さんのことを理解し、時に学ぶ心持ちを大切にしなければなりません。
辞令交付式では新採用の職員へ「夕張市を選んでくださったことに感謝します」と心からお伝えしました。
夕張市にとって貴重な力である職員が、職務を通じてしっかりと力を伸ばせる環境を作っていこう!と改めて気を引き締めております。
技術系職員を募集しております
夕張市では、土木系・建築系の技術職と保健師を現在も引き続いて募集しております。
全国的に財政運営が厳しさを増す中においても、インフラの適切な管理、市民の健康維持は将来のまちづくりに不可欠な業務です。
また、今後は一般事務職員の募集も予定しています。
ぜひ私たちと一緒にこれからの夕張、小さくても強く輝くまちづくりに一緒に携わっていただけませんか?
市民の皆様におかれましても機会がありましたらぜひ、市職員募集のご案内にお力添えをいただきますようお願い申し上げます。
(令和7年5月)
今年の1月、前なでしこジャパンフィジカルコーチ、大塚慶輔さんの著書出版記念の講演があり、お話を聴く機会がありました。
大塚さんは夕張市ご出身で3歳まで夕張で過ごされています。
令和4年7月には夕張高校で「キセキの授業」の講師もお務めくださり、今後も夕張のために活動したいと仰ってくださっています。
さて、大塚さんの講演で少々耳が痛くも、私の印象に残ったのは「トップアスリートの試合でのパフォーマンスは、日常の生活からつくられるもの」という言葉です。
センスや技術の向上も大切な要素ですが、それを支えている「土台」が重要で、日頃の運動・栄養・睡眠といった生活習慣、しかもそれを育成の時期からしっかり固める、つまり「土台づくり」をすることが大切であるというものです。
私はアスリートではありませんが、「土台づくり」に関しては完璧には取組めていません(汗)
市民の皆さんはいかがでしょうか?
◆若年者健診を始めます◆
市では、令和7年度から20歳~39歳の市民で、職場などで健康診断を受ける機会がない方に対して、健診を受けられるようにしました。
市の国民健康保険加入者の医療状況を見ると40歳より前から生活習慣病ともいわれる糖尿病・高血圧・心疾患の治療を受けている方もいらっしゃいます。
大塚さんがお話しされていることに置き換えると、若い時期から健診を受けご自身の体を知り、維持・改善することは皆さんのパフォーマンスを生み出す生活習慣「土台づくり」に役立つものと言えます。
「若年者健診」に該当する市民の皆様には、6月に健診のご案内をお届けいたします。
いくつになられても市民の皆さんがそれぞれ目指されるパフォーマンスを維持できますよう、ぜひ若年者健診をご活用ください。
(令和7年6月)
夕張市産の長いもと米麹(おぼろづき)を原材料とした本格長いも焼酎「一(いち)Hajimari(はじまり)」が6月1日に発売されました。
この焼酎は「JA 夕張市企画商品」で、札幌の醸造所に製造を依頼し、完成・販売に至ったところです。
長いも焼酎といえば市民の皆様には「ゆうばり寅次郎」を思い出される方もいらっしゃるでしょう。
夕張寅次郎は株式会社石炭の歴史村観光 夕張メロンブランデー醸造研究所から平成元年(1989年)に蒸留酒スピリッツとして発売され、平成8年(1996年)からは焼酎として発売されました。
私も当時、市の担当係職員として、蒸留酒スピリッツ時代の寅次郎から販売促進に関わり、苦戦したことを覚えております。その後「焼酎ブーム」の到来もあって、長いも焼酎ゆうばり寅次郎は一定の評価を頂くまでに成長しました。
しかし、株式会社石炭の歴史村観光が自己破産して、その後は民間企業が事業の一部を継承し製造再開までは漕ぎつけたものの、事業の継続が困難となり、残念ながら、ゆうばり寅次郎は姿を消しました。
近年、道内ではワインやジン、ウィスキーの醸造が盛んに行われている中、こうして地元産品を原材料とした焼酎の復活は夕張にとって本当に喜ばしい限りです。
また、ネーミングは夕張長いもの歴史にちなんだもの。と伺ってはおりますが、私にはこの「一」が、財政再建中の本市が、令和9年3月に実質的な財政再建を完了して新たな歴史の始まりを告げる。ことを表してくれているように受け止めております。
長いもと米の柔らかな香りと甘い味わいが特徴の長いも焼酎「一(いち)Hajimari(はじまり)」。
初年度は道の駅夕張メロードのみでの販売ですが夕張長いものように粘り強く成長していくことを期待しております。
(令和7年7月)
6月くらいから例年よりも暑い日が多いなと感じております。
この原稿を書いている今日も、ここ市長室は蒸し暑いです。
本年6月の北海道地方の月平均気温は、昭和21年の統計開始以降、6月として最も高くなったそうです。(令和7年7月2日・札幌管区気象台発表)
夕張市のデータを見てもやはり、昭和51年の観測開始以来、6月の値としては1位となっていました。
それまで1位を記録していたのが平成22年ですから15年振りに記録が更新されたことになります。
やはり気候変動によるものなのでしょう。
ところで、毎年6月頃になりますが、札幌管区気象台から職員の皆様が市役所へお越しになり、連絡網の確認と気象に関する取組へのご助言をいただいております。
日頃、気象情報の中でも特に災害に及ぶ可能性のある気象が予測される場合には、迅速に情報共有がなされるように、顔の見える関係づくりをしてくださっております。
今年、この気象台の皆様がお越しくださった際には「空知地方の気候変動」についてのご説明をいただきました。
その内容は統計データの分析から
●年平均気温は10年あたり0.22℃上昇
●日本海側の「年最深積雪」は減少傾向
●傘をさしていても濡れるような、一時間降水量30ミリ以上の回数は増加の傾向
とのことでした。
皆様、いかがでしょうか?日頃感じていることはやはり統計でもしっかりと現れている感じがしませんか?
特に、気温上昇は大雨をもたらす積乱雲が発生しやすくなるそうですので、暑い日が続いたあとの気象には注意が必要ですね。
さて、市民の皆様の記憶に新しいところと思われますが、昨年8月31日に夕張市内でも床上浸水、道路や農地で冠水被害をもたらす大雨に見舞われました。
この時の一時間降水量は沼ノ沢地区で63.5ミリを観測し、瞬間的な降水量として10分あたりの降水量は19.5ミリと観測史上最大の降水量を記録しました。
こうした気象が増加の傾向にあることは、まさしく札幌管区気象台の説明とも一致しております。
そして、既存の排水施設を適正に管理していても被害を完全に抑えることが難しくなってきています。
市でも市道排水管理の強化を行ってまいりますが、市民の皆様におかれましても「気象情報の確認」や、市が災害協定を締結している「Yahoo!防災アプリの活用」など、自らお取組み頂ける範囲での防災対策をお願いいたします。
(令和7年8月)
令和6年度から、広報記事、市長コラムを通じて「廃棄物の減量」や「資源物の分別」をお願いしてまいりました。
振り返りになりますが、市では富野じん芥埋立処分地の延命化を図るため、令和6年3月に埋立容量かさ上げのための届出を行いました。
なぜ、かさ上げが必要だったのか、それはかさ上げをしなければ令和8年度中に埋立てが行えなくなる見通しだったからです。
届出に基づくかさ上げを実施することにより、富野じん芥埋立処分地の寿命は約4年半伸ばすことができます。
ただ言い換えるとかさ上げを実施しても4年半という状況ですので、引き続きルールに基づいてごみの減量、排出をしていただきますようお願いいたします。
市では令和6年12月、令和7年1月に処分地に持ち込まれた一般ごみの内容調査を実施しています。
調査結果は広報ゆうばり令和7年4月号に掲載し、市民の皆様にはご覧いただいていると思いますが、本来、資源として分別していただかなければならない資源物が14%混入していました。
資源物の分別については「ごみの減量」や「再資源化の促進」を通じて「環境負荷の低減を図る」ことを目的として法律で定められています。
つまり分別されないことは将来の環境負荷のみならず、処分地の維持管理費などにも影響を及ぼしかねない事態になりますので、「資源物の分別」にあらためてご協力をお願いいたします。
また市では市役所や旧南支所敷地内などにリサイクルコーナーを設置し、無料回収品(電池・蛍光管・電球・雑誌・本・新聞紙・小型家電・古着)に限り回収する取組みを行っております。
ところが残念ながらこのリサイクルコーナーでも無料回収品以外のごみや物品が不法に投棄される事案が続いています。(広報ゆうばり8月号でもご協力をお願いしています。重ねてのお願いです!)
先にも申し上げましたが、こうしたごみの分別は法律で定められているもので、夕張市だけが厳しく対応しているものではありません。
ひと手間かかりますが、地域や環境が将来にわたって持続可能なものとなりますよう、引き続きのご協力を切にお願いいたします。
(令和7年9月)
夕張でも9月まで暑い日が続きましたね。皆さん体調をくずされることはありませんでしたか。
また夕張市農業の基幹品目である夕張メロンの栽培でも、暑さへの対応が大変ご苦労されたと伺いました。生産者の皆さん、本当にお疲れさまでした。
以前のコラムでも触れましたが、今夏も、気象の変化による災害への警戒が続く日々となりました。
夕張では昨年8月末に、短時間集中豪雨により床下浸水などの水害が発生しました。
本年も、市内の一部地域のみで激しい雨が降るなど、昨年と同様の気象状況が見られ、心配されましたが、幸いにも大きな被害には至らず、胸を撫で下ろしております。
さて、季節は晩秋に向かう10月となりました。
市では10月5日に若菜・鹿の谷地区にお住まいの方を対象とした「住民避難訓練」と消防分団による「水防訓練」、10月19日には夕張市消防団総合訓練を実施します。
夕張市は、急傾斜地が多いこともあり、「土砂災害指定区域警戒箇所」が334箇所あり、そのうち「特別警戒区域」は280箇所にのぼります。
この特徴から、市が行う訓練も各地域の警戒区域などで、大雨による土砂災害や水害などを想定して実施しております。
該当地域の皆様におかれましてはぜひ訓練にご参加いただきたいですし、この機会に他の地域にお住まいの皆様にもぜひご見学いただきたいと思います。
消防団の活動にご理解とご参加を!
こうした訓練が重要なのはもちろんですが、災害にあたっては市民の皆様お一人お一人の日頃からの備え、心構えが大切です。
そして、地域防災を進めるうえで非常に大きな役割を担っていただいているのが消防団の皆様です。
日頃から、消火や救助活動のほか、防火啓発や災害に備えた訓練を行っていただいており、地域のこともよく知る消防団の皆様は、とても頼りになる存在です。
ところが人口減少などに伴い分団数、団員とも減少の一途を辿っております。
現在この消防団員の確保が課題となっており、本年も9月に市内で街頭啓発を実施しました。
入団資格は年齢18歳以上で夕張市に在住の方であれば入団できます。
自らの地域は自らでなければ守れません。消防団活動へのご理解・ご協力をお願いします。
(令和7年10月)
毎年11月になると、今から19年前のあの11月のことを思い出します。
特に、11月14日、市が「夕張市財政再建の基本的枠組み案」を公表した日です。
解消すべき赤字額が巨額であったことから、市職員の大幅削減、ゼロベースからの事務事業の見直し、市民の皆様の負担増加のお願いをせざるを得ないという内容でした。
さらに、それらの取組みをもってしても財政再建には約20年程度かかると見込まれておりました。
当時、こうした非常に厳しい内容の基本的枠組み案が公表されたことで、市内外からは様々な反響がありました。
この案は財政再建計画に反映されるものであり、言い換えれば市政のあり方や市民生活に大きな影響を及ぼすものであることは明らかでした。
私自身も、大きな不安と強い危機感を抱きながら連日、業務に取り組んでいたことを思い出します。
あれから19年、市では財政再生計画に基づき行財政運営を進めてまいりました。
厳しいやり繰りの中でも可能な限り、必要と判断される事業は実施してきております。
とはいえ、財政再生計画に基づく行財政運営は、市民の皆様のご理解とご協力、そして、様々な形でご支援を頂いているすべての皆様のお力添えをなくして進められるものではありません。
あらためて心から感謝申し上げます。
そして、あと約一年半後には実質的な計画の目標を達成することができます。
私はこうした歴史経過を踏まえ、兼ねてから「夕張の歴史の転換点」だと考えています。
炭鉱閉山の度に人口流出、財政難に見舞われてきました。
この転換点では、人口流出とあらたなまちの基盤づくりと財政再建に取組んできた歴史に一区切りをつけ、新たな一歩を踏み出そうとしています。
そのうえで現在は、実質的な財政再建完了後のまちづくりの指針(総合計画)づくりを進めています。
平成28年3月に報告された「夕張市の再生方策に関する検討委員会報告」では、「これからの夕張市に必要な取組み」には自治権の回復が必要と触れられておりました。
言うまでもなく地方自治を進めていくことは行政、住民代表機関である市議会、住民の皆様、それぞれの役割を実行することで前に進みます。
厳しさと向き合った19年前の11月から、来年20年目。いわゆる自治権の回復を実感することができる11月にするため準備を進めてまいります。
(令和7年11月)
10月下旬、市内3か所で市政懇談会を行いました。
懇談会では、実質的な財政再建完了後(令和9年4月以降)のまちづくりの指針となる「総合計画」を作成していることや、市庁舎の移転改築と周辺整備についての考え方をお示ししました。
その中では、少子高齢化が進む夕張市で、これまで取り組んできたコンパクトシティをさらに推進し、「住み慣れた夕張で安心して暮らし続けていただく」、「子どもたちが暮らしたいと思うまちにする」ことを目指し、具体化していくことをご説明いたしました。
今後も取組みを進め、その進捗に応じて市民の皆様に情報をお届けしてまいります。
「困難」を克服するためのコンパクトシティ
11月には、札幌市で本市の財政再建や今後のまちづくりについて考える講座が開かれ、財政再建20年の取組みと現状、そしてこれからのまちづくりの展望についてお話しする機会をいただきました。
講座では、産炭地として閉山と人口流出、財政難を繰り返してきた夕張だからこそ、財政再建の完了を機に、「困難の歴史を転換していきたい」という思いをお伝えしました。
全国的な少子高齢化や特定の都市部への人口集中が続く中、本市の人口が大きく増加していくことは正直なところ考えにくいと思います。
そのため夕張市を持続可能にする施策として、これまでコンパクトシティを進めてきました。
産炭地ゆえ分散した集落に市民の皆様が居住されていますが、全ての地域に同じ施策を講じるのではなく、地域ごとの実情に応じつつ、財政負担を抑えた都市構造への転換が必要と考えています。
講座においても、この考え方に立って「今までどおりの行政範囲を健全に維持していくことは困難だということをしっかり理解し、市民の皆様とも共有した上で、将来に向けた持続可能なまちづくりを進めていきたい」とお伝えしたところです。
今回の講座の内容は新聞にも取り上げられましたが、私の発言の一部だけが強調され「今後の行政範囲 今まで通り困難」という見出しになったことで、市民の皆様にはご心配をおかけしたと感じております。
私が申し上げたかったことは、「将来に向けて見えている課題を克服し、夕張市を持続可能なまちとするために、コンパクトシティの取組みを着実に進めていく」というこれまでの方針に変わりはない、という点です。
このことに改めてのご理解をお願い申し上げますとともに、私もわかりやすく正しい情報、考えをお伝えする努力をいたしてまいります。
(令和7年12月)