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令和6年度から『市長コラム』と題して、私(市長)が毎月の投稿を通じて、市政推進にあたる想い、市民の取り組み、イベント紹介などをいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、早いもので令和6年も3カ月が過ぎ、4月からは新年度を迎えました。本年1月1日に発生した能登半島地震では、今なお多くの方々が避難生活を強いられているほか、ライフラインは復旧しつつあるものの、断水が解消されていない地域の住民の方は厳しい環境下にあります。一日も早い日常生活の回復を祈るばかりです。
そして市民の皆様へのあらためてのお願いです。万が一の災害に備え「家の中の安全対策」「非常時備蓄品」の備えなど「自助」の取り組みをお願いいたします。
令和6年度予算では、こうした防災・災害時の情報伝達手段の充実などを目的とする『地デジ広報』実施に関する経費を計上いたしました。
特に地域で毎年実施している『水防訓練』では市民の方から『車両による避難広報が聞こえない』とのご意見も頂戴するなど、迅速・正確・幅広い世代への情報伝達の充実を図る必要があり実施することとしました。
地デジ広報は『普段は行政情報の発信』『緊急時には市民の皆様への情報伝達手段』として、パソコンやスマートフォンをお使いでない方でも、テレビの画面操作で市が発信する様々な情報をお読みいただくことができます。
準備が整い次第配信を実施いたしますので、各ご家庭での活用と同時に、市外のご家族にもお伝え頂き、活用して頂きたいと考えております。
(令和6年4月)
3月に行った第1回定例市議会では市政執行方針に対する質問として「廃棄物の減量に取り組むことも必要ではないか」という内容もありました。
市では令和6年度に、富野じん芥埋立処分地のかさ上げ工事を実施し、延命化を図る予定です。何も手立てを行わなければ令和8年度中に埋立てが行えなくなる見通しで、議員からはかさ上げ工事の実施とともに、より長く安定的に埋立てできるよう「廃棄物減量」の取組みも必要、とのご指摘でした。
私からの答弁はもちろん「かさ上げ工事」だけではなく「廃棄物の減量化」と「減量化に直結するごみの分別」も必要、これからも市民の皆様に協力をお願いしていく、とお答えしています。
そこで「減量化に直結するごみの分別」ってどういうこと?となりますが…。
「捨てればごみ、分ければ資源」という言葉がありますように、ごみ減量化のためには、この言葉を心に留めていただき、リサイクルできる資源ごみをきちんと分別していただくことが必要なのです。
残念ながら富野じん芥処分地では
◆ 一般廃棄物が直接埋立処分地に搬入される事業系ごみの中にリサイクルできる資源ごみが混入している。
◆ リサイクルできる資源ごみを分別収集しても、汚れが付着している場合などは、その汚れからカビが発生する恐れがあるため、リサイクルをすることができず、埋立てせざるを得ない資源ごみがある
といった事例が見られます。
これまでも市民の皆様にはごみの分別にご協力を頂いてまいりましたが、この分別は資源を捨ててしまわず、循環させるためのものですので、これからも「廃棄物の減量」「資源ごみは内容物・付着物を洗い流し、乾かして資源ごみとして出す」「資源ごみを一般廃棄物に混ぜない」ことへのご理解とご協力をお願いします。
(令和6年5月)
令和6年度は「未利用工業団地の活用促進」を進めることとしておりますが、今月のコラムではこの取組みの目的と、市内工業団地の現況についてお伝えします。
現在市内に整備されている工業団地は「すべて売却済」で、5地区38区画となっており、23社が事業を行なってくださっております。各企業(様)には地域での雇用の場を確保して頂いており、あらためてこの場でも感謝申し上げます。
市としては、第一に基幹産業である農業、地元企業を守り育てることが重要と考えております。
一方、市内工業団地には「未利用」となっている区画があり、こうした未利用地を積極的に活用していただくことにより、新たな雇用の場を創出することも進めたいと考えております。
このことから、令和6年度は市内企業へのアプローチのほか、未活用事業者へ訪問、ヒアリングを行う予定です。ヒアリングでは
◎今後の活用方針
◎貸付や売却の意向
◎事業用地データベースへの搭載可否
などに関するお考えをお聞きし、回答に応じて利用促進策につながる対応を行なってまいります。
これらの取組みを通じて、新規大型事業への対応、市内事業者の利用拡大のどちらに対してもしっかりお応えできる環境づくりを進めてまいります。
昨年は本市においても猛暑に見舞われましたが、昨年の気象を振り返りますと夕張市の年平均気温は7.9度。これは東京の平均気温と比べても9.7度、石狩圏域の平均気温と比べても0.9~3.1度低いものです。工場において冷房が必要な場合、稼働を抑制することができるのではないでしょうか。
こうした強みを積極的にアピールし、未利用工業団地の活用促進を図り、新たな雇用の場を創出する体制を作ってまいります。
※平均気温の出典は気象庁ウェブサイトによる
(令和6年6月)
市民の皆様には既にニュースなどでご覧頂いていると思いますが、令和6年の夕張メロンは5月23日に初出荷、翌24日には札幌中央卸売市場で初競りが行われました。
本年の初競りには、春先の気温天候も後押しされ、約1700玉もの夕張メロンが初競りにかけられました。
今回のコラムでは夕張メロンの持つ「チカラ」を私なりにお伝えしたいと思います。
さて、令和6年初競りの最高落札額は300万円、過去4番目の高値となりました。
こうして毎年高いご評価を頂いていることは生産者の皆様・農業関係団体の皆様の大きな励みになっていることは勿論、「市名」を冠した作物であることから、本市ふるさと納税の返礼品としても絶大な人気を誇るほか、市の認知度を高める「チカラ」として大きく貢献していただいております。
そして「初夏の走り」である夕張メロンの初競りの効果・勢いは、道産フルーツの出荷が盛んになる夏から秋の市場の活況を占う上でも重要なものであると伺ったことがあります。夕張メロンの「チカラ」は市場を!北海道をも引っ張る!私はそう考えています。
こうした役割を持つ地元の基幹作物ですが、栽培農家戸数の減少、労働力確保などの課題もあります。しかしそもそも夕張の農業は狭く険しい山間地という厳しい環境を克服し、今日の基盤を確立してきている経験があります。幾多の困難を克服し誕生、そして高い評価を得られるまでのブランドを確立してきた経験、私はまち全体の歴史とも重ね「必ずや夕張メロンのように」と、未来への道程を想います。
市民の皆様にはぜひこうした歴史、生産者の皆様のたゆまぬ努力のもと生産される夕張メロン、ぜひご家庭はもちろんのこと、より多くの方、まだ召し上がられたことのない方にもぜひPRして頂きたいと思います。
私も農業の技術は持ち得ていませんが、地域としての多様な支え方があります。
地域一つになって感謝の気持ちで地域の宝を守っていきましょう!
(令和6年7月)
私が市役所で勤務することになった年、折しも「炭鉱から観光へ」と市の政策が「限りある石炭産業からの転換、みどりの山峡や黒ダイヤとうたわれた石炭を活かした観光のまちづくり」へと転換した頃でもありました。
その年の8月、夕張夏まつりでは初めて「ゆうばり囃子 阿呆踊り」パレードが行われたのですが、私も早速踊り手の一員となり、勤務終了後指導を請うたものでした。
当時、徳島の阿波踊りをモチーフにした夕張オリジナルの踊りと聞いてはいたものの、テンポも早く、また久しく「黒ダイヤ囃子」に親しんできた身としては、最初はなじめず、当時は恥ずかしさのほうが強かった記憶があります。
しかし一方でたくさんの市民・団体の方々と踊りを共にすることで不思議な達成感を抱いたのも事実で、そこには当時、難局を乗り越えていこうという機運が集まったようにも感じました。
今年の2月にゆうばり小学校の6年生(当時)と「夕張こども会議」を行った際、児童から「夕張のメインのお祭りは何ですか?」という問いがありました。
その想いは児童を含む市民も楽しめ、帰省した方や市外の方にも魅力あるお祭りをして欲しいということでした。
お祭りの目的は時代とともに変わってきた面もありますが、ぜひこれからも「今日この日は市民同士が様々な場面で交流できる日・皆で作り上げる日」でありたいですし、この児童の想いのように地域のお祭りをぜひ一緒に育てていきましょう。
(令和6年8月)
令和6年度、夕張高校は4年ぶりに入学者数を大幅に増加させることができました。
市は「夕張高校を絶対になくさない!」と宣言、平成27年度に夕張高校魅力化プロジェクトの検討を始め、平成29年度から各種支援施策を本格実施してまいりました。
今年度の生徒増加は、こうした市の施策に共感・共鳴・行動してくださった夕張高校の先生方、市民の皆様、小中学校、ご協力事業者と全国から応援してくださる皆様のご協力があったからこその結果と考えております。本当にありがとうございます。
この成果を絶やさず継続していくため、引き続き市民の皆様にはご理解・ご支援をいただきますようお願いいたします。
さて私も市長として、市長2期目の就任にあたり「地方だからこそできる安心な子育てと教育環境作り」を進めることをお約束いたしました。
その中の「ゆうばりこども会議」や「夕張高校魅力化プロジェクト」の推進を通じ、児童・生徒の皆さんのお話を聴く機会が増えました。
その中で感じるのは皆さん夕張に対する愛着があること、ご自身の考え・想いをしっかりと言語化できていることです。私の小中高校時代はどうだっただろうと振り返ると、夕張への愛着は負けないつもりですが、言語化はとても皆さんには及びません。本当に素晴らしいなと感じます。
7月末に夕張高校生4名が海外短期留学の出発報告にお越しくださいました。その席でもご自身の目標、目的、足らざるところも含め緊張することなくしっかりとお話しくださいました。
言語化は自己認識が深まる、コミュニケーションを向上させる力を持つといわれ、社会に出てからも必ず求められる力です。自分の未来をつくる言語化、クラスをつくる言語化は地域をつくる言語化にもつながります。
これからもこうした一つ一つの成果を大切に、皆さんの後押しをしていきます。
(令和6年9月)
8月末に「令和6年度 国、北海道及び夕張市の三者協議」も終わり、市役所庁舎整備、新しい指針(総合計画)の策定について現状と課題を共有したうえで、引き続き三者の連携を密に対応していくことを確認しました。
こうした協議を踏まえ、市としては期間延長していた市役所庁舎整備にかかる「基本計画策定」を、何とか年内にまとめたいと考えております。
さて令和6年度も上半期を過ぎ市の令和7年度予算編成はこの10月から始まります。
この予算編成ですが、夕張市の場合「財政再生計画計上額」が基本となり、この点が他自治体との一番の違いです。
そのうえで、法改正などにより年度当初から実施しないと支障がある経費や、令和7年度において実施する必要がある新規の事業や経費を盛り込むかどうか査定を行います。
しかし毎年同様でありますが、法改正への対応は別として、新規事業や経費を全て盛り込めるわけではありませんし、計画に登載している事業であっても、時間の経過、情勢の変化に対応して廃止・減額も含めた見直しも必要です。
つまりは「入るを量りて出るを為す」ということわざがありますが、この言葉は予算編成を行ううえでも考え方の基本に据えなければいけません。
令和6年度「市政執行方針」では市長の任期4年を1サイクルと考えると、令和6年度を「花を咲かせるための育成の年」、10月から始める予算編成において目指す令和7年度は「実りを導くための花を咲かせる年」となります。
課題多き夕張ではありますが、知恵を集め、たとえ小さくとも力強く咲く花となるよう予算編成を進めてまいります。
(令和6年10月)
「冬・winter」がタイトルになっている歌は今年デビュー30周年を迎え、夕張の応援を続けてくださっているGLAYの「Winter again」、石川さゆりさんの「津軽海峡冬景色」など、のロックやバラードから演歌まで幅広くうたわれています。
夕張でもスキーが楽しめる季節であり、冬ならではの食事も楽しみではありますが、生活する、冬場をしのぐという観点からすると除雪の負担、暖房や冬物衣料の準備、圧雪・凍結路面での運転、ドカ雪など心配がつきまとう季節でもあるのではないでしょうか。
さて本年5月には各町内会ごとに「除排雪事業アンケート」へのご協力をいただきありがとうございました。
お寄せいただいた回答は好意的な意見の割合が多かったのですが、もちろん改善を求められたものもありました。
こうしたご意見などを踏まえ、この冬も適正な除排雪事業を進められるよう降雪期に向け準備してまいります。
しかしながら一方では降雪の時間帯、降雪量などによっては通勤・通学時間帯に作業が間に合わない場合もございます。
ぜひこの点につきましては市民の皆様にも深いご理解をいただきますようお願いいたします。
夕張市が除雪する道路の延長は181・1km、夕張市と札幌市を往復する以上の距離に匹敵、これを31台の車両で行なっておりますがいかがでしょうか?
夕張市内の除雪作業、実は対外的にも高い評価をいただいております。
市民の皆様にとってただただ苦痛な冬とならぬよう、お気持ちとしては歌交じりに冬の良さも感じて頂ける季節になりますよう、降雪期の対応を進めてまいります。
(令和6年11月)
令和6年も札幌、東京での「ふるさと会」など夕張出身で市外にお住まいの皆様と懇談する機会を多く頂きました。
会に参加される皆様は、様々な手段によって夕張の情報を入手され、温かく応援してくださっておりますが、話題が思い出深い母校の話になった時は、そのほとんどが廃校になっている寂しさに心が染みました。
そのようなこともあり、また、市内の児童・生徒数も少なくなりましたが、みんな頑張っていることを夕張出身者の皆さんにもお伝えしたい気持ちがあり、ふるさと会では、私から皆様に「施策の実行を通じて『小さくても強く輝くまち』を目指す」という今の夕張の目標と、その中で小中高生もまちづくりの主体者として「ふるさと学習」に取り組んでいることをお話ししました。
ここで「ふるさと学習」の様子についてご紹介させていただきますが、中学校では私が所信表明でも掲げた「夕張っ子政策会議」を「あつやトークat夕張中」という形で仕立ててくださっています。
●市内企業や団体の「達人」から学び、●企業などに足を運び、達人の仕事や活動を感じ(見学)、●その成果や苦労、課題を生徒の皆さんがまとめられたのち、「あつやトーク」で、提言を発表します。
その際に私も含め地域の方々と生徒の皆さんが語り合うことで、提言がより補強され、生徒の皆さんにも参加した我々地域の大人にも、新たな気づきやアイデアが生まれました。
ふるさと会の会員の皆さんには、こうした地域とともに進めるふるさと学習の取組みにより、学校こそ少なくなりましたが「一山一家」の炭鉱町の歴史を歩んだ夕張の精神は継承されていることをお伝えしたいですし、生徒の皆さんには主体者として意見したことは、大人が大切に受け止めてくれるまちだと実感していただけるよう、これからも地域でふるさと学習を応援する環境づくりに務めてまいります。
(令和6年12月)